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お知らせ

前懸を復元新調しました「藍地波濤に飛龍文様綴織」

2024年、橋弁慶山の前面を飾る前懸を復元新調しました。

復元新調された前懸は「藍地波濤(あいじはとう)に飛龍文様綴織(ひりゅうもんようつづれおり)」です。

藍地波濤(あいじはとう)に飛龍文様綴織(ひりゅうもんようつづれおり)

復元新調前懸御披露目会

藍地波濤(あいじはとう)に飛龍文様綴織(ひりゅうもんようつづれおり)

1.製作検討会と仕立て

製織途中では、随時織り表現の可否と、進捗の確認を受ける。また、製作検討会は各年度5回開催し、図案・織り下絵や製作仕様、製織技術を検討し、併せて事業の進捗度合いを確認した。
本製織が始まってから最初の製作検討会の様子。前懸の大きさでは初めての製織状況の検収であった。

製作検討会と仕立て

2.官服継ぎ接ぎの調査

原幕には8頭の龍の内、 前後の身頃から5頭の龍が移されて、1着の官服の裂地(きれじ)を繋ぎ合わせて仕立てられているように見えるが、よく見ると右下の図に示した数字の部分が元の官服の裂地(きれじ)で、 英字で示した左右の脇部分や周辺部は殆んど同じに見える繊細な綴織(つづれおり)の裂地(きれじ)を使いさらには似た色のきものの生地に無地の雲や蝙蝠(こうもり)をアップリケしていることがわかる。

製作検討会と仕立て

縦124.0×横129.0cm
1着の官服の身頃と肩部分に織り込まれている8頭の龍のうち、身頃の5頭を移して前懸に仕立て直している。周辺部は一見では解らない程よく似た裂地(きれじ)を継ぎ接ぎし、 刺繍等で文様を作っている。

3.製作工程 綴織の試作

図柄の復元と並行して、想定した色に糸を染め段織見本を織って実際の織り上がりの色を確認し、色修正と糸染を重ねて最終的な段織見本を製作する。
その後、前懸の図柄の要所部分の試作を織るが、試作は織りやすい小幅の織機を利用し経糸(たていと)の下に織り下絵を置き、織り下絵に書き込んだ段織見本の色番号の通りに緯糸(よこいと)を織り込む(前懸の図柄は細かいので1.5倍に拡大した下絵に色番号を記入)。
綴織(つづれおり)は裏面を上にしておるので織り下絵は左右反転して制作する。

製作検討会と仕立て

4.本製織の開始

経糸(たていと)の下に置いた織り下絵の図柄通りに指定された番号の緯糸(よこいと)を織り込む。 細かな文様なので数ミリごとに緯糸を往復させなければならない。

本製織の開始

湧雲(ゆううん)の脚部分の製織状況。 綴織(つづれおり)は同じ色でも場所ごとに織り分けるので、 織前には緯糸が山のように積まれる。

本製織の開始

5.2台同時の製織

製織は70cm幅の2台の織機を横に並べて互いの製織表現を確認できるようにした。また2週間ごとに交替して左右の裂地(きれじ)の織り表現が揃うように配慮した。
2台の織機で織ることにしたのは、経糸(たていと)の上げ下げの回数を減らすことができ、またこまめに巻取りが出来るので、同じ場所の経糸に負担が掛かる時間を少なくできるため。

2台同時の製織